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カスタマーレビュー
おすすめ度:
手形黄金期、終わりの始まり
(2008-10-31)
・著者は、鈴木竹雄博士の理論を踏襲した、言わずと知れた「創造説」の代表的論者。
聞くところによれば手形法というのは、戦後昭和期を通じて長らく、
多数説である「契約説」と、「創造説」による熾烈な対立が演じられたのだそうです。
・ところで、「創造説は判例と異なるから少数説にとどまった」という認識は
正確ではありません。判例は、一定の学説に与することを拒否し、
その理論的立場を意図的にあいまいにしているのだそうです。
したがって、多数説でも創造説でも判例と大きく矛盾しない妥当な結論を導くことは
可能だといえます。両者はもっぱら理論構成の観点で対立しているのです。
よって、どちらを支持するかは、判例とは別に、各人の価値観で決めて差し支えないのです。
・ただ、手形論争は、本書登場のあたりを境にしだいに沈静化に向かいます。
社会的に手形の需要も手形訴訟も急速に減少し、平成、特に21世紀になってからは、
多数説も創造説も、これといって大きな動きはないようです。
著者の『手形法・小切手法 (法律学大系)』も、将来に向けた実務用,学習用というより、
学術的な総決算という色合いが濃いと思われます。
・本書はやや古いかもしれませんが、手形論争に勢いがあり、著者も脂がのっていた
時期ですから、創造説の入門書としてはいまだに最適、というかこれしかありません。
その意味で、1993年あたりで改訂されなかったのは残念ではあります。
ただ、いずれにせよ著者に続く新たな論客が現れない限り、創造説に未来はないでしょう。
・現在は、それがいいことかは別として、手形法に対する関心は薄れています。
学説も多数説で落ち着いてしまっていますので、一般の学生や社会人さんは、
多数説による薄めのテキストで、理論に過度に深入りすることなく勉強するのが
順当なのかもしれません。
これで改版されていればなぁ…
(2002-12-08)
初版発行年月日を見れば分かる通り,かなり古い.学説や判例の進展には対応していない.
しかも,著者である前田先生は,もっと詳細でもっと新しい手形法の体系書(こちらは実務向けか)を他に書いている.
さらに,とどめをさすかのように,本書の採る見解は判例と「異なる」「少数説」である.
おすすめ度:
手形黄金期、終わりの始まり
・著者は、鈴木竹雄博士の理論を踏襲した、言わずと知れた「創造説」の代表的論者。
聞くところによれば手形法というのは、戦後昭和期を通じて長らく、
多数説である「契約説」と、「創造説」による熾烈な対立が演じられたのだそうです。
・ところで、「創造説は判例と異なるから少数説にとどまった」という認識は
正確ではありません。判例は、一定の学説に与することを拒否し、
その理論的立場を意図的にあいまいにしているのだそうです。
したがって、多数説でも創造説でも判例と大きく矛盾しない妥当な結論を導くことは
可能だといえます。両者はもっぱら理論構成の観点で対立しているのです。
よって、どちらを支持するかは、判例とは別に、各人の価値観で決めて差し支えないのです。
・ただ、手形論争は、本書登場のあたりを境にしだいに沈静化に向かいます。
社会的に手形の需要も手形訴訟も急速に減少し、平成、特に21世紀になってからは、
多数説も創造説も、これといって大きな動きはないようです。
著者の『手形法・小切手法 (法律学大系)』も、将来に向けた実務用,学習用というより、
学術的な総決算という色合いが濃いと思われます。
・本書はやや古いかもしれませんが、手形論争に勢いがあり、著者も脂がのっていた
時期ですから、創造説の入門書としてはいまだに最適、というかこれしかありません。
その意味で、1993年あたりで改訂されなかったのは残念ではあります。
ただ、いずれにせよ著者に続く新たな論客が現れない限り、創造説に未来はないでしょう。
・現在は、それがいいことかは別として、手形法に対する関心は薄れています。
学説も多数説で落ち着いてしまっていますので、一般の学生や社会人さんは、
多数説による薄めのテキストで、理論に過度に深入りすることなく勉強するのが
順当なのかもしれません。
これで改版されていればなぁ…
初版発行年月日を見れば分かる通り,かなり古い.学説や判例の進展には対応していない.
しかも,著者である前田先生は,もっと詳細でもっと新しい手形法の体系書(こちらは実務向けか)を他に書いている.
さらに,とどめをさすかのように,本書の採る見解は判例と「異なる」「少数説」である.
いわば「三重苦」だが,本書はもはや過去の遺物なのだろうか.私はそうは思わない.
本書の長所は「説明が分かりやすい」ということである.例えば,手形の特徴を文言性・要式性…と羅列するのではなく,手形債務負担行為は無因行為である,従って権利の発生には手形上への設権を要し故に書面上の記載によって債務内容は決まる,従って書面上の文言が重要なのだ…というように終始論理を重視して一貫して説明するため,内容が分かりやすいのである.また,本書の近時判例への未対応も,前田先生のもう一つの体系書を適宜参照すればフォロー可能だろう.
他の教科書を読んだが知識の羅列で体系が身につかなかった人や,自説の反対説としての創造説を理解したいのだが創造説が良く分からない人などは,試しに一読してみるといいだろう.
ちなみに,他に分かりやすい本としては坂井芳雄『手形・小切手法の理解』などもお勧め.
なお「本書は『少数説』」と上述したが,判例の動向を見る限り必ずしもそうと言えない側面もあるように思われる.念のため.

