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カスタマーレビュー
おすすめ度:
昭和の傑物か、稀代の頑迷者か。
(2008-10-04)
原発、正力、CIA。いかにも胡散臭い、謀略の匂いがプンプンするタイトルに惹かれ、購入。
サンフランシスコ講和条約後、当時対中ソ戦略の一環として日本の核武装さえも画策していたアメリカCIAが、情報操作の拠点として利用しようと目を付けたのが、読売グループの総裁正力松太郎。今著は、CIA文書の中の「正力ファイル」を基に知られざる戦後史と昭和の傑物を検証していく。
テレビの父、極東地域を包括するマイクロ波構想に尽力するも政治的背景により頓挫、なおも、総理の道をも夢想する正力と、同盟国や第三世界への原子力開発援助をお題目に、社会主義陣営への優位を確保しようとするアメリカ。政治的、ビジネス経済的に双方の思惑が絡み合う。
第五福竜丸事件を契機に湧き起こる原水禁、反原発、反米運動の激化。社会主義勢力に対抗しての様々なメディア戦略、心理戦。まるで諜報小説のような展開だが、ここは飽くまでも史実。エンタテインメントのような訳にはいかない。
自らの私欲、権力の為に奔走し、何とも厄介な原子力についてプライミングを行い続け、更にアメリカとも丁々発止の駆け引きを行った正力。その強烈な野望が、当時の保守大連立を生み、結果的に日本に於ける社会主義政権誕生を阻止した。今日、彼の行為は、アメリカに良いように利用された愚弄で悲哀な事だったのか、それとも、日本経済の礎を築いた事だったのか、は、読者の判断に委ねられる。
それにしても、読売グループに君臨している人物って、誰もが変わらないんだね。
原子力推進もCIAも全て利権のため
(2008-05-27)
読売新聞社主、日本テレビ放送網の創始者:正力松太郎氏(故人)、CIA暗号名「ポダム」氏の原子力推進の原動力となったのは自身の政治的野望を実現するために当時原子力を推進したかったアメリカの関心をかい自身の野望を実現するためのものだったことが公開されたCIA資料から解き明かされていきます。 原子力の平和利用も聞こえは良いが関連設備を売りたかった産業界の後押しでアメリカ政府が動いていたこと、その潮流を捉えて日本国内で平和利用推進のキャンペーンを参加の放送網・新聞挙げて行ったのが正力氏であったこと自身の野望のために新聞機関をCIAのエージェント化することさえ厭わなかった事実が明らかにされていきます。 マスコミとは何なのか? その存在意義と問題性を改めて問い直したくなる本です。
副題の通り
(2008-04-08)
本書の副題は、機密文書で読む昭和の裏面史、となっている。原発開発と正力という讀賣グループの創始者とCIAとが、絡み合いながら化学反応を続けていたという、裏の昭和史が淡々と語られる。
有名ブログの池田信夫Blogで取り上げられていたので、手に取ったのだが、どうしても「むかしむかしあるところに」で始まるおとぎ話のような読後感しか、持ち得なかった。
それだけ、昭和は遠い過去の話になったのだろう。
「平和ボケ」の頭に衝撃
(2008-03-07)
「一国の外交部門や情報機関ともなれば、少しでも自分に有利な世論を作り出すよう対象国のメディアを操作しようと全力を尽くすのは当然だ。この事実に衝撃を受ける日本人が今日いるとすれば、それは平和ボケというものだ」と著者の言葉。しかし、日本最大の部数を誇る新聞社のかつての社主が、コードネームで呼ばれるようなCIAのターゲットであり、しかも、ターゲット側も自らの権勢欲のため相手の意図を知りながら関係を維持し、原子力のPRなど利害の一致する部分については積極的に動いていた、とはやはり衝撃的だ。
ただ、せっかくCIAの文書を丹念に掘り起こし、例えば1956年の訪英使節団派遣が、正力の決定というより、正力の決定を遅らせるための時間稼ぎだった、といったこれまでの“常識”と異なる真実を掘り起こしているにもかかわらず、原典の引用などが少ない。読みやすいストーリー仕立てにしたためか、学問的な厳密さがやや弱い、という感がある。新書という制約の中ではやむを得ないことかもしれないが…。
「読売グループは正力の支配が強い」「表向き読売新聞・日本テレビが行うキャンペーンのように見えながら(中略)正力の選挙運動に他ならなかった」といった記述は、CIAの認識であり、正力がいた時代のこと、と考えたいが、ナベツネさんの豪腕ぶりをみると、企業体質?などと考えてしまう。
化け物と謀略機関の騙し合い
(2008-02-21)
以前、佐野真一の正力伝「巨怪伝」を読み、正力という人物の権力欲、妄執ぶりに唖然としたが、CIA機密解除文書から構成された本書を読み、世界一の謀略機関と恐れられるCIAすら己の権力のために利用しようという常人離れした思考に、改めて化け物ぶりを感じた。
日本国内の反米世論が強く、共産化の可能性すら現実味を持って語られていた1950年代、正力はアメリカの危機感を見透かしたかのようにCIAに近づく。一方、反共主義者正力は戦後、日本テレビを全国で放送するため、「原発の父・正力」を旗印に総理を目指す。両者は、読売新聞5000人記者の集めた情報をCIAに横流しし、同紙を反共宣伝機関にすることを認める代わりに、正力に原子力技術を提供するという悪魔のような契約だ。「ポダム」なるコードネームを付けられ「CIAの資産として育てる」とノートされた正力だが、「原子炉をくれ」「テレビをくれ」とねだりまくって言いなりにならず、CIAをあきれさせる。とにかく総理になりたい正力の尽力で原発の法整備、基礎技術導入はなされた。皮肉なことに正力の夢・総理就任はかなわず、正力の夢の道具でしかなかった原発はいまや国内発電量40%と、国の根幹をなす。
同月発売された野田敬生「心理諜報戦」では、ソ連KGBが読売を含む国内すべての全国紙に協力者を抱えていたことを明らかにしているので、同社は冷戦時、米ソ両方から便宜を受けていたことになる。著者は外国の情報機関がメディアを利用した心理工作をすることに驚くなど、平和ボケだ、と語る。公平中立をことあるごとにいう日本の新聞、今でも工作されてるんじゃないか、と疑いたくなった。
おすすめ度:
昭和の傑物か、稀代の頑迷者か。
原発、正力、CIA。いかにも胡散臭い、謀略の匂いがプンプンするタイトルに惹かれ、購入。
サンフランシスコ講和条約後、当時対中ソ戦略の一環として日本の核武装さえも画策していたアメリカCIAが、情報操作の拠点として利用しようと目を付けたのが、読売グループの総裁正力松太郎。今著は、CIA文書の中の「正力ファイル」を基に知られざる戦後史と昭和の傑物を検証していく。
テレビの父、極東地域を包括するマイクロ波構想に尽力するも政治的背景により頓挫、なおも、総理の道をも夢想する正力と、同盟国や第三世界への原子力開発援助をお題目に、社会主義陣営への優位を確保しようとするアメリカ。政治的、ビジネス経済的に双方の思惑が絡み合う。
第五福竜丸事件を契機に湧き起こる原水禁、反原発、反米運動の激化。社会主義勢力に対抗しての様々なメディア戦略、心理戦。まるで諜報小説のような展開だが、ここは飽くまでも史実。エンタテインメントのような訳にはいかない。
自らの私欲、権力の為に奔走し、何とも厄介な原子力についてプライミングを行い続け、更にアメリカとも丁々発止の駆け引きを行った正力。その強烈な野望が、当時の保守大連立を生み、結果的に日本に於ける社会主義政権誕生を阻止した。今日、彼の行為は、アメリカに良いように利用された愚弄で悲哀な事だったのか、それとも、日本経済の礎を築いた事だったのか、は、読者の判断に委ねられる。
それにしても、読売グループに君臨している人物って、誰もが変わらないんだね。
原子力推進もCIAも全て利権のため
読売新聞社主、日本テレビ放送網の創始者:正力松太郎氏(故人)、CIA暗号名「ポダム」氏の原子力推進の原動力となったのは自身の政治的野望を実現するために当時原子力を推進したかったアメリカの関心をかい自身の野望を実現するためのものだったことが公開されたCIA資料から解き明かされていきます。 原子力の平和利用も聞こえは良いが関連設備を売りたかった産業界の後押しでアメリカ政府が動いていたこと、その潮流を捉えて日本国内で平和利用推進のキャンペーンを参加の放送網・新聞挙げて行ったのが正力氏であったこと自身の野望のために新聞機関をCIAのエージェント化することさえ厭わなかった事実が明らかにされていきます。 マスコミとは何なのか? その存在意義と問題性を改めて問い直したくなる本です。
副題の通り
本書の副題は、機密文書で読む昭和の裏面史、となっている。原発開発と正力という讀賣グループの創始者とCIAとが、絡み合いながら化学反応を続けていたという、裏の昭和史が淡々と語られる。
有名ブログの池田信夫Blogで取り上げられていたので、手に取ったのだが、どうしても「むかしむかしあるところに」で始まるおとぎ話のような読後感しか、持ち得なかった。
それだけ、昭和は遠い過去の話になったのだろう。
「平和ボケ」の頭に衝撃
「一国の外交部門や情報機関ともなれば、少しでも自分に有利な世論を作り出すよう対象国のメディアを操作しようと全力を尽くすのは当然だ。この事実に衝撃を受ける日本人が今日いるとすれば、それは平和ボケというものだ」と著者の言葉。しかし、日本最大の部数を誇る新聞社のかつての社主が、コードネームで呼ばれるようなCIAのターゲットであり、しかも、ターゲット側も自らの権勢欲のため相手の意図を知りながら関係を維持し、原子力のPRなど利害の一致する部分については積極的に動いていた、とはやはり衝撃的だ。
ただ、せっかくCIAの文書を丹念に掘り起こし、例えば1956年の訪英使節団派遣が、正力の決定というより、正力の決定を遅らせるための時間稼ぎだった、といったこれまでの“常識”と異なる真実を掘り起こしているにもかかわらず、原典の引用などが少ない。読みやすいストーリー仕立てにしたためか、学問的な厳密さがやや弱い、という感がある。新書という制約の中ではやむを得ないことかもしれないが…。
「読売グループは正力の支配が強い」「表向き読売新聞・日本テレビが行うキャンペーンのように見えながら(中略)正力の選挙運動に他ならなかった」といった記述は、CIAの認識であり、正力がいた時代のこと、と考えたいが、ナベツネさんの豪腕ぶりをみると、企業体質?などと考えてしまう。
化け物と謀略機関の騙し合い
以前、佐野真一の正力伝「巨怪伝」を読み、正力という人物の権力欲、妄執ぶりに唖然としたが、CIA機密解除文書から構成された本書を読み、世界一の謀略機関と恐れられるCIAすら己の権力のために利用しようという常人離れした思考に、改めて化け物ぶりを感じた。
日本国内の反米世論が強く、共産化の可能性すら現実味を持って語られていた1950年代、正力はアメリカの危機感を見透かしたかのようにCIAに近づく。一方、反共主義者正力は戦後、日本テレビを全国で放送するため、「原発の父・正力」を旗印に総理を目指す。両者は、読売新聞5000人記者の集めた情報をCIAに横流しし、同紙を反共宣伝機関にすることを認める代わりに、正力に原子力技術を提供するという悪魔のような契約だ。「ポダム」なるコードネームを付けられ「CIAの資産として育てる」とノートされた正力だが、「原子炉をくれ」「テレビをくれ」とねだりまくって言いなりにならず、CIAをあきれさせる。とにかく総理になりたい正力の尽力で原発の法整備、基礎技術導入はなされた。皮肉なことに正力の夢・総理就任はかなわず、正力の夢の道具でしかなかった原発はいまや国内発電量40%と、国の根幹をなす。
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