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カスタマーレビュー
おすすめ度:
今日のアメリカに比肩するモンゴル帝国創建者の卓越ぶりを裏付ける
(2007-04-17)
昨年の帝国創建八〇〇周年と中央政府庁舎正面の大彫刻設置で、モンゴルでは益々高潮する「チンギス・ハン」ブーム。今年は二月のエンフバヤル大統領訪日にあわせ日本映画「蒼き狼−地果て海尽きるまで−」も封切り。本著はこのブームの主人公が如何に卓越したリーダーであったかを裏付ける格好の作品。学生の頃から、偉大な人物とは?を思考したという堺屋氏は、1)理念理想の創造、2)その構想の具体化、3)これを実現する組織力と実行力、4)対人技術と人間的魅力、5)個人としての知能・技能・体力、をその基準に掲げます。これに照合して日本の戦国三傑の織田信長・豊臣秀吉・徳川家康、さらには世界史上の偉人を点数評価する時、断トツを走るのがチンギス…。そして当時破竹の勢いで北アジアから中国・中央アジア・中東を跨ぎロシア・東欧に及んで拡大したチンギス家によるモンゴル帝国を、今日の米国に比較します。他の偉人に稀なチンギスの包容力は「無限無差別取込み主義」「文化不介入」に象徴され、人種・文化・慣習・宗教に関わらず人材登用しまた治めた点。これも十八世紀末以来の米国の発展パタンに類似し、史上初の「世界」概念の実現であり、最古のグローバリズムと評します。この点は実は意味深長で、チンギスの孫の世代以降、モンゴル帝国内部が文化・宗教に依拠する各国に分散・衰退し、統一の理念が消失していった事実からも説明されます。さてその点に「絶対王政」と「経済重視」を加えた三つのコンセプトを、対立勢力のない無限無敵の超大国を築いた“チンギス・ハン・コンセプト”と命名。八〇〇年前のままを湛える現存のモンゴルの天地に立って、当時の「チンギス・ハン」に思いを馳せる奥深さを示唆し、草原や騎馬隊、また繁栄と破壊の果てに残った遺跡などの写真もふんだんに織り交ぜながら、読者の想像力を助けています。
ユーラシアの草原にグローバルビジネスのルーツを求めて
(2006-02-20)
数あるチンギス・ハン関連本に堺屋太一が何をつけ加えるのか。興味津々で読み進んだ。
著者は旧通産官僚から社会経験をスタートしている。その後は作家、万国博覧会プロデューサー、大臣、と多彩な世界を通過してきた人物である。とうぜん主題は「経済」であろう。そう期待した。結果は期待以上の内容であった。
著者によれば、世界史上、信用通貨を基礎としたグローバル通商帝国を構築し得たのはモンゴルとアメリカの二つのみだという。ただし、いくつかの重要な点においてモンゴルの方がすぐれていた。
アメリカは世界史的に実績と継続性を検証できる存在にはまだなっていない。これに対してモンゴルは継承国家を含めて考えてみると数世紀にわたり世界史上に巨大な足跡を残しているのである。
興味深いことに遊牧民の生活は現在も変わることなくユーラシアの草原に息づいている。チンギス・ハン帝国を検証するためのきわめて有力な素材が眼前に存在するのである。そこで著者はモンゴルの草原に直接出向いて行くのである。本書の誕生である。
現代の戦闘機に相当する当時最速の騎馬軍団と先端情報技術の融合、そして信用通貨システムを駆使したグローバリゼーションの展開、がカラー写真を駆使してわかりやすく解説されている。
著者によれば、モンゴル帝国の創始者チンギス・ハンは織田、豊臣、徳川、これら3人を合わせたほどの大人物だという。
徹底的な経済重視というモンゴル帝国のコンセプト(思想)に著者は注目している。モンゴル軍団の強さも結局は思想とシステムの優越性だという。
21世紀の米国は新しいモンゴルか。と著者は問う。本書出版と時を同じくして開始された経済紙の連載小説の背景の解説書としてもまことに興味深いものがある。
おすすめ度:
今日のアメリカに比肩するモンゴル帝国創建者の卓越ぶりを裏付ける
昨年の帝国創建八〇〇周年と中央政府庁舎正面の大彫刻設置で、モンゴルでは益々高潮する「チンギス・ハン」ブーム。今年は二月のエンフバヤル大統領訪日にあわせ日本映画「蒼き狼−地果て海尽きるまで−」も封切り。本著はこのブームの主人公が如何に卓越したリーダーであったかを裏付ける格好の作品。学生の頃から、偉大な人物とは?を思考したという堺屋氏は、1)理念理想の創造、2)その構想の具体化、3)これを実現する組織力と実行力、4)対人技術と人間的魅力、5)個人としての知能・技能・体力、をその基準に掲げます。これに照合して日本の戦国三傑の織田信長・豊臣秀吉・徳川家康、さらには世界史上の偉人を点数評価する時、断トツを走るのがチンギス…。そして当時破竹の勢いで北アジアから中国・中央アジア・中東を跨ぎロシア・東欧に及んで拡大したチンギス家によるモンゴル帝国を、今日の米国に比較します。他の偉人に稀なチンギスの包容力は「無限無差別取込み主義」「文化不介入」に象徴され、人種・文化・慣習・宗教に関わらず人材登用しまた治めた点。これも十八世紀末以来の米国の発展パタンに類似し、史上初の「世界」概念の実現であり、最古のグローバリズムと評します。この点は実は意味深長で、チンギスの孫の世代以降、モンゴル帝国内部が文化・宗教に依拠する各国に分散・衰退し、統一の理念が消失していった事実からも説明されます。さてその点に「絶対王政」と「経済重視」を加えた三つのコンセプトを、対立勢力のない無限無敵の超大国を築いた“チンギス・ハン・コンセプト”と命名。八〇〇年前のままを湛える現存のモンゴルの天地に立って、当時の「チンギス・ハン」に思いを馳せる奥深さを示唆し、草原や騎馬隊、また繁栄と破壊の果てに残った遺跡などの写真もふんだんに織り交ぜながら、読者の想像力を助けています。
ユーラシアの草原にグローバルビジネスのルーツを求めて
数あるチンギス・ハン関連本に堺屋太一が何をつけ加えるのか。興味津々で読み進んだ。
著者は旧通産官僚から社会経験をスタートしている。その後は作家、万国博覧会プロデューサー、大臣、と多彩な世界を通過してきた人物である。とうぜん主題は「経済」であろう。そう期待した。結果は期待以上の内容であった。
著者によれば、世界史上、信用通貨を基礎としたグローバル通商帝国を構築し得たのはモンゴルとアメリカの二つのみだという。ただし、いくつかの重要な点においてモンゴルの方がすぐれていた。
アメリカは世界史的に実績と継続性を検証できる存在にはまだなっていない。これに対してモンゴルは継承国家を含めて考えてみると数世紀にわたり世界史上に巨大な足跡を残しているのである。
興味深いことに遊牧民の生活は現在も変わることなくユーラシアの草原に息づいている。チンギス・ハン帝国を検証するためのきわめて有力な素材が眼前に存在するのである。そこで著者はモンゴルの草原に直接出向いて行くのである。本書の誕生である。
現代の戦闘機に相当する当時最速の騎馬軍団と先端情報技術の融合、そして信用通貨システムを駆使したグローバリゼーションの展開、がカラー写真を駆使してわかりやすく解説されている。
著者によれば、モンゴル帝国の創始者チンギス・ハンは織田、豊臣、徳川、これら3人を合わせたほどの大人物だという。
徹底的な経済重視というモンゴル帝国のコンセプト(思想)に著者は注目している。モンゴル軍団の強さも結局は思想とシステムの優越性だという。
21世紀の米国は新しいモンゴルか。と著者は問う。本書出版と時を同じくして開始された経済紙の連載小説の背景の解説書としてもまことに興味深いものがある。

