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カスタマーレビュー
おすすめ度:
「自分探し」が許されたお坊ちゃん
(2008-12-14)
本作は、大学卒業後も自分の居場所が定まらず、親からの仕送りを詐取しつつ、
寂れた街のプールバーでフリーターをしながら過ごす若者が、
3件の殺人事件に遭遇し、その真相究明を図りながら、
現状から一歩、大人への階段を昇り始めるという、推理+青春小説です。
大学からの卒業を絡めた同著者の推理小説「卒業」と何となく似ていますが、
フリーターからの脱却を絡めている点が、より現代的だと思います。
個性的な街の人々とのやり取りや、懐の深い父親との語らいなどを通じて、
主人公の揺らぎと自立への渇望が次第に高まっていく描写もさることながら、
第5章で語られる、主人公の当初の推理を超える事件の真相と被害者の切ない思い、
そして、事件の真の解決こそが、主人公をうらぶれた街から旅立たせる契機となるという、
ストーリーの収束のさせ方には唸らされます。著者の初期作品の中で個人的に一押しです。
若き東野の勝負
(2007-05-26)
密室、1回では解けない謎などを盛り込むなどかなりの力作です。なんといってもデビュー第4作。今でこそ押しも押されもしない作家それも「超」がつく売れっ子ですが、当時の文壇ではデビュー作は良かったけれど...という存在になりつつある頃。ぼちぼち勝負のしどころだったのでしょう。
肩が凝らない文体で、非常に楽しく読み進めることが出来る作品であると同時にひねり具合、人間描写など時々ほほーっと思わせるところがあります。
作者とは同じ大学で家も大学に近いのでかなり親近感を持てた作品でもあります。
東野ファンでなくとも、一読の価値ありです。
完成度が高い
(2006-07-28)
寂れつつある街に、何気なく生活している若者の友人と恋人が殺された。
恋人のことを何も知らない自分に気づいた若者は、恋人の過去を辿り、恋人の性格と過去の事件から、今の事件の全貌をつかんでいく...。
若者の悲しみと怒り、苦悩が伝わってくる作品で、最後まで興味を失うことなく、読後感も悪くない。完成度が高い作品だと思う。
精緻な構造を持った小説でしたが、一気に読めました
(2006-06-18)
東野圭吾のデビュー第4作です。
まずタイトルがいいですね。『学生街の殺人 』という誰にも身近に感じる街をイメージできるわけで、その設定からしてワクワクします。
推理小説に対するコメントはネタバレにならないように注意して少しだけ感想を・・・。
多くの登場人物が複雑に入り乱れ絡み合って物語の進行と共に新しい局面を次々と提示していきます。
普通、推理小説といいますと犯人探しが主目的なのですが、本書はそれに加えて、背景の人間関係のからみを横糸に、殺意にいたる過程を縦糸に用いながらその構造を上手に描いています。
キーワードともいえる、寂びれた「学生街」も重要な役回りが与えられていますので、この小説のモティーフは上手くいったと思います。
主人公の犯罪の解明への執念は、大切な人の思いを自分の中で咀嚼することにより最後までやり遂げられました。鮮やかなどんでん返しともいえるエンディングに辿りつくまで、殺意や犯人像が見えないように工夫されていたのは感心しました。
本書における殺人の動機というのも、なんとなく理解できますが、それ以上に複雑な人間関係に張り巡らされた複線の数々に関心を持ちました。理系出身である東野圭吾の頭の中身を垣間見たような精緻な構造を持った小説ですので、読み応えは十分です。
飽きずに最後まで一気に読みましたね。
あまりに切ないラスト
(2005-12-07)
東野圭吾の4作目は、2作目の『卒業』の姉妹編のような作品です。『卒業』に出てきた大学の周辺が今作でも舞台になっています。大学の正門の位置が変わった為に旧来の学生街がさびれ、新たな正門の周囲に新学生街ができるのですが、『卒業』は新学生街を舞台としており、『学生街の殺人』は廃れつつある旧学生街を舞台にしています。主人公も、『卒業』では就職を控えた大学生だったのに対し、今作では卒業したものの定職につかずブラブラしているフリーターです。この2作の設定はまるでコインの裏表のようです。
これまでのところ、東野圭吾は4作連続で密室トリックを用いています。今作の密室はマンションのエレベーターを用いたもの。被害者はエレベーターの上昇中にその中で殺されたと思われます。犯人がそこから逃げるには階段で下りるしかないはずなのですが、目撃者が1階から最上階まで階段を上る最中だったにもかかわらず、すれ違わないという謎が描かれています。真相の発覚と共に、被害者の本当の気持ちが主人公にわかってしまうところがなんとも切ないですね。
おすすめ度:
「自分探し」が許されたお坊ちゃん
本作は、大学卒業後も自分の居場所が定まらず、親からの仕送りを詐取しつつ、
寂れた街のプールバーでフリーターをしながら過ごす若者が、
3件の殺人事件に遭遇し、その真相究明を図りながら、
現状から一歩、大人への階段を昇り始めるという、推理+青春小説です。
大学からの卒業を絡めた同著者の推理小説「卒業」と何となく似ていますが、
フリーターからの脱却を絡めている点が、より現代的だと思います。
個性的な街の人々とのやり取りや、懐の深い父親との語らいなどを通じて、
主人公の揺らぎと自立への渇望が次第に高まっていく描写もさることながら、
第5章で語られる、主人公の当初の推理を超える事件の真相と被害者の切ない思い、
そして、事件の真の解決こそが、主人公をうらぶれた街から旅立たせる契機となるという、
ストーリーの収束のさせ方には唸らされます。著者の初期作品の中で個人的に一押しです。
若き東野の勝負
密室、1回では解けない謎などを盛り込むなどかなりの力作です。なんといってもデビュー第4作。今でこそ押しも押されもしない作家それも「超」がつく売れっ子ですが、当時の文壇ではデビュー作は良かったけれど...という存在になりつつある頃。ぼちぼち勝負のしどころだったのでしょう。
肩が凝らない文体で、非常に楽しく読み進めることが出来る作品であると同時にひねり具合、人間描写など時々ほほーっと思わせるところがあります。
作者とは同じ大学で家も大学に近いのでかなり親近感を持てた作品でもあります。
東野ファンでなくとも、一読の価値ありです。
完成度が高い
寂れつつある街に、何気なく生活している若者の友人と恋人が殺された。
恋人のことを何も知らない自分に気づいた若者は、恋人の過去を辿り、恋人の性格と過去の事件から、今の事件の全貌をつかんでいく...。
若者の悲しみと怒り、苦悩が伝わってくる作品で、最後まで興味を失うことなく、読後感も悪くない。完成度が高い作品だと思う。
精緻な構造を持った小説でしたが、一気に読めました
東野圭吾のデビュー第4作です。
まずタイトルがいいですね。『学生街の殺人 』という誰にも身近に感じる街をイメージできるわけで、その設定からしてワクワクします。
推理小説に対するコメントはネタバレにならないように注意して少しだけ感想を・・・。
多くの登場人物が複雑に入り乱れ絡み合って物語の進行と共に新しい局面を次々と提示していきます。
普通、推理小説といいますと犯人探しが主目的なのですが、本書はそれに加えて、背景の人間関係のからみを横糸に、殺意にいたる過程を縦糸に用いながらその構造を上手に描いています。
キーワードともいえる、寂びれた「学生街」も重要な役回りが与えられていますので、この小説のモティーフは上手くいったと思います。
主人公の犯罪の解明への執念は、大切な人の思いを自分の中で咀嚼することにより最後までやり遂げられました。鮮やかなどんでん返しともいえるエンディングに辿りつくまで、殺意や犯人像が見えないように工夫されていたのは感心しました。
本書における殺人の動機というのも、なんとなく理解できますが、それ以上に複雑な人間関係に張り巡らされた複線の数々に関心を持ちました。理系出身である東野圭吾の頭の中身を垣間見たような精緻な構造を持った小説ですので、読み応えは十分です。
飽きずに最後まで一気に読みましたね。
あまりに切ないラスト
東野圭吾の4作目は、2作目の『卒業』の姉妹編のような作品です。『卒業』に出てきた大学の周辺が今作でも舞台になっています。大学の正門の位置が変わった為に旧来の学生街がさびれ、新たな正門の周囲に新学生街ができるのですが、『卒業』は新学生街を舞台としており、『学生街の殺人』は廃れつつある旧学生街を舞台にしています。主人公も、『卒業』では就職を控えた大学生だったのに対し、今作では卒業したものの定職につかずブラブラしているフリーターです。この2作の設定はまるでコインの裏表のようです。
これまでのところ、東野圭吾は4作連続で密室トリックを用いています。今作の密室はマンションのエレベーターを用いたもの。被害者はエレベーターの上昇中にその中で殺されたと思われます。犯人がそこから逃げるには階段で下りるしかないはずなのですが、目撃者が1階から最上階まで階段を上る最中だったにもかかわらず、すれ違わないという謎が描かれています。真相の発覚と共に、被害者の本当の気持ちが主人公にわかってしまうところがなんとも切ないですね。

