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カスタマーレビュー
おすすめ度:
加賀恭一郎の背景を知ることができる1冊
(2008-12-30)
『悪意』で、加賀恭一郎の洞察力に圧倒され、彼が登場する他の作品があると聞き、年末年始の休みで片っ端から読み漁っております。
これはその「加賀恭一郎シリーズ」の第一作目。
加賀恭一郎が大学卒業間近に、仲間が相次いで不審な死をとげ、その謎を解き明かしていきます。
その洞察力のみならず、彼とその父親との微妙な距離、そして加賀の大学時代の恋人、沙都子との日々など、加賀恭一郎の背景を知ることができる一冊です。
加賀恭一郎シリーズは、どこから読んでも時系列はそれほど影響はしませんが、どこから読んだとしても、もし加賀恭一郎に興味を持たれた場合はこの1冊は必ず押さえておかれることをお薦めします。
さて、肝心の本書の内容ですが、この「卒業」というタイトルが、思った以上に広い意味を持っていると感じました。
最初、登場する学生達が、いささかステレオタイプな気もしましたが、全て読み終わった時、その奥底に思わぬ闇が隠されていたと知り、「さすが東野氏」と思わせられました。
雪月花のトリックは非常に難解ですね。図解入りで説明されていますが、いまだに頭がこんがらかっています。
ただ、加賀がいくつかのトリックを解くにあたり、そのヒントをあらゆる場所から引っ張ってくる(本当にいろいろな場所から)、その洞察力の深さは大学時代からだったのだとあらためて感心しました。
大学生の青春
(2008-12-17)
舞台はとある大学、卒業を間近に控えた7人の大学生の青春を描いたミステリー。
東野さん自身が20台の頃に書かれた作品だということもあり、
今読むとちょっと初々しくもあり、新鮮でもあり、どこかもどかしさも感じるるような・・そんな作品。
7人の仲間のひとりが自室で死んでいたことから物語は始まるが、果たして自殺なのか?他殺なのか?
真実を必死で突き止めようとする彼らの背景に、部活、就職、卒論・・大学生ならではのキーワードが色々と絡んできて、
読んでいて自分の大学生時代を思い出して懐かしくなった。
ちなみに、サブテーマの「雪月花」というのは、茶会の一種。
これが物語の重要なキーポイントになっているのだが、そのからくりは何度か繰り返し読まないと理解し難い。
「仲間なんて、卒業するまで」というのは寂しいが、現実はやっぱりその通りなのかなぁと少しセンチメンタルな気分になった。
トリックは難解すぎますが…。
(2008-12-14)
本作は、著者の作品にお馴染みの加賀恭一郎刑事の学生時代を描くものです。
大学卒業を控え、それぞれあわただしい毎日を送る加賀を始めとする7人の仲間たち。
そのうちの2人に相次いで不審な死が訪れたことから、
加賀、そして加賀が思いを寄せる沙都子らは真相究明に取り組む。
しかし、自殺と信じたい彼らを困惑させるのは、
仲間の誰かが手を下したという他殺説がぬぐい切れないことだった…。
本作は、耳慣れない茶道のしきたりが重要な役割を果たすため、
謎解きの点からは、なかなか読み難いと思えます。
しかし、卒業前の、あぁ仲間との楽しい時間は終わるんだなという寂しさや、
反面、一緒に過ごしてきた仲間のことを何もわかっていなかったという驚きについては、
すごくリアリティが感じられます。
学生時代に人間関係で悩んだ経験のある方は、共感を覚えると思います。
もっとも、「裏切り」や「報復」にまで突き進んだ方はめったにいないでしょうが…。
ちなみに、本作の女子学生たちが住む「白鷺荘」というアパートが、
同著者の「殺人の門」にも登場することを発見しました。
もっとも、設定は異なるのですが…。
卒業までの半年で
(2008-07-05)
第二の殺人は、何度読んでもおそらく解らないトリックですね。ミステリーというより、青春小説として読みました。
ちょうど、この本が刊行されたころ、私も大学を出て、社会人の扉をたたきました。
私は「青春時代」という歌が好きで、「卒業までの半年で答えを出すというけれど〜」というフレーズが、読後に頭の中を駆け巡りました。
最後に、残った仲間がそれぞれに「答え」を出していくわけですが、大人になっていく最終過程で出す「答え」だけに、みなそれぞれが重い責任を背負った答えを出しました。
人生を終わらせる者もいます。
私のときも、同じです。私も答えを出しました。「答えを出す」=「決断」ですが、その決断を下すために大学生活があったと思っています。
小・中・高の友人はいまだに永く続いていますが、大学の四年間の友人は長続きしていないですね。やっぱり、この年の友情って難しいものなのか、と思いました。
青春推理ミステリの第2弾における主人公は大学生。加賀恭一郎の原点ここにあり!
(2008-05-28)
27歳の若さで乱歩賞を受賞した作品『放課後』で鮮烈なデビューを果たした著者による第2弾作品。主人公らはT大学に通う大学生である。ベストセラー『赤い指』(単行本)で今なおその活躍を見せ続ける加賀恭一郎が初めて登場する作品であり、ファン必見といったところだろうか。彼の大学時代の様子を窺い知るにはもってこいだ。
シンプルなタイトルではあるが、この「卒業」という言葉の意味を私はあまりよく考えたことがなかった。卒業しても大学時代の友人との付き合いは続くわけだし、いつになっても大学時代の想い出は永遠に消え去ることはない。10年以上も前に卒業したにもかかわらず、大学での4年間は何にも換え難いまことに貴重な日々だった。こうした感覚はすぐに分かるものではなかろう。やはり10年くらいの期間を経たのちに得られる特殊な感覚なのかもしれない。本書を読みながら自らの大学時代をフラッシュバックさせていた。東野作品の青春推理ミステリはいまだに色褪せることのない新鮮な魅力を秘めている。登場人物の会話・行動様式や価値観(思考様式)などは決して古びていない。「解説」で指摘されているとおりである。本書はとくに若い世代の記憶に残る作品であるに違いない。むろん私もその一人である。
友情や信頼とは一体何であろうか。仲間を信じる「根拠」とは何であろうか。そんな根拠などなくとも自然と振舞える人間同士の付き合いこそ「仲間」なのかもしれない。本書を読むと、「友が友にとって殺害される」という生々しい描写が活写されている。若いからこそ友情や信頼に悩むのかもしれないが、本書に潜む難解なテーマは「青春」という華々しい言葉の裏に歴然とその姿を曝しているように思われるのだ。初登場した加賀恭一郎は本書でも独特の存在感を放っている。推理力もなかなかのものだ。彼に自らの大学時代を重ねる読者もいるだろう。「卒業」―人は何から卒業するのだろうか。
おすすめ度:
加賀恭一郎の背景を知ることができる1冊
『悪意』で、加賀恭一郎の洞察力に圧倒され、彼が登場する他の作品があると聞き、年末年始の休みで片っ端から読み漁っております。
これはその「加賀恭一郎シリーズ」の第一作目。
加賀恭一郎が大学卒業間近に、仲間が相次いで不審な死をとげ、その謎を解き明かしていきます。
その洞察力のみならず、彼とその父親との微妙な距離、そして加賀の大学時代の恋人、沙都子との日々など、加賀恭一郎の背景を知ることができる一冊です。
加賀恭一郎シリーズは、どこから読んでも時系列はそれほど影響はしませんが、どこから読んだとしても、もし加賀恭一郎に興味を持たれた場合はこの1冊は必ず押さえておかれることをお薦めします。
さて、肝心の本書の内容ですが、この「卒業」というタイトルが、思った以上に広い意味を持っていると感じました。
最初、登場する学生達が、いささかステレオタイプな気もしましたが、全て読み終わった時、その奥底に思わぬ闇が隠されていたと知り、「さすが東野氏」と思わせられました。
雪月花のトリックは非常に難解ですね。図解入りで説明されていますが、いまだに頭がこんがらかっています。
ただ、加賀がいくつかのトリックを解くにあたり、そのヒントをあらゆる場所から引っ張ってくる(本当にいろいろな場所から)、その洞察力の深さは大学時代からだったのだとあらためて感心しました。
大学生の青春
舞台はとある大学、卒業を間近に控えた7人の大学生の青春を描いたミステリー。
東野さん自身が20台の頃に書かれた作品だということもあり、
今読むとちょっと初々しくもあり、新鮮でもあり、どこかもどかしさも感じるるような・・そんな作品。
7人の仲間のひとりが自室で死んでいたことから物語は始まるが、果たして自殺なのか?他殺なのか?
真実を必死で突き止めようとする彼らの背景に、部活、就職、卒論・・大学生ならではのキーワードが色々と絡んできて、
読んでいて自分の大学生時代を思い出して懐かしくなった。
ちなみに、サブテーマの「雪月花」というのは、茶会の一種。
これが物語の重要なキーポイントになっているのだが、そのからくりは何度か繰り返し読まないと理解し難い。
「仲間なんて、卒業するまで」というのは寂しいが、現実はやっぱりその通りなのかなぁと少しセンチメンタルな気分になった。
トリックは難解すぎますが…。
本作は、著者の作品にお馴染みの加賀恭一郎刑事の学生時代を描くものです。
大学卒業を控え、それぞれあわただしい毎日を送る加賀を始めとする7人の仲間たち。
そのうちの2人に相次いで不審な死が訪れたことから、
加賀、そして加賀が思いを寄せる沙都子らは真相究明に取り組む。
しかし、自殺と信じたい彼らを困惑させるのは、
仲間の誰かが手を下したという他殺説がぬぐい切れないことだった…。
本作は、耳慣れない茶道のしきたりが重要な役割を果たすため、
謎解きの点からは、なかなか読み難いと思えます。
しかし、卒業前の、あぁ仲間との楽しい時間は終わるんだなという寂しさや、
反面、一緒に過ごしてきた仲間のことを何もわかっていなかったという驚きについては、
すごくリアリティが感じられます。
学生時代に人間関係で悩んだ経験のある方は、共感を覚えると思います。
もっとも、「裏切り」や「報復」にまで突き進んだ方はめったにいないでしょうが…。
ちなみに、本作の女子学生たちが住む「白鷺荘」というアパートが、
同著者の「殺人の門」にも登場することを発見しました。
もっとも、設定は異なるのですが…。
卒業までの半年で
第二の殺人は、何度読んでもおそらく解らないトリックですね。ミステリーというより、青春小説として読みました。
ちょうど、この本が刊行されたころ、私も大学を出て、社会人の扉をたたきました。
私は「青春時代」という歌が好きで、「卒業までの半年で答えを出すというけれど〜」というフレーズが、読後に頭の中を駆け巡りました。
最後に、残った仲間がそれぞれに「答え」を出していくわけですが、大人になっていく最終過程で出す「答え」だけに、みなそれぞれが重い責任を背負った答えを出しました。
人生を終わらせる者もいます。
私のときも、同じです。私も答えを出しました。「答えを出す」=「決断」ですが、その決断を下すために大学生活があったと思っています。
小・中・高の友人はいまだに永く続いていますが、大学の四年間の友人は長続きしていないですね。やっぱり、この年の友情って難しいものなのか、と思いました。
青春推理ミステリの第2弾における主人公は大学生。加賀恭一郎の原点ここにあり!
27歳の若さで乱歩賞を受賞した作品『放課後』で鮮烈なデビューを果たした著者による第2弾作品。主人公らはT大学に通う大学生である。ベストセラー『赤い指』(単行本)で今なおその活躍を見せ続ける加賀恭一郎が初めて登場する作品であり、ファン必見といったところだろうか。彼の大学時代の様子を窺い知るにはもってこいだ。
シンプルなタイトルではあるが、この「卒業」という言葉の意味を私はあまりよく考えたことがなかった。卒業しても大学時代の友人との付き合いは続くわけだし、いつになっても大学時代の想い出は永遠に消え去ることはない。10年以上も前に卒業したにもかかわらず、大学での4年間は何にも換え難いまことに貴重な日々だった。こうした感覚はすぐに分かるものではなかろう。やはり10年くらいの期間を経たのちに得られる特殊な感覚なのかもしれない。本書を読みながら自らの大学時代をフラッシュバックさせていた。東野作品の青春推理ミステリはいまだに色褪せることのない新鮮な魅力を秘めている。登場人物の会話・行動様式や価値観(思考様式)などは決して古びていない。「解説」で指摘されているとおりである。本書はとくに若い世代の記憶に残る作品であるに違いない。むろん私もその一人である。
友情や信頼とは一体何であろうか。仲間を信じる「根拠」とは何であろうか。そんな根拠などなくとも自然と振舞える人間同士の付き合いこそ「仲間」なのかもしれない。本書を読むと、「友が友にとって殺害される」という生々しい描写が活写されている。若いからこそ友情や信頼に悩むのかもしれないが、本書に潜む難解なテーマは「青春」という華々しい言葉の裏に歴然とその姿を曝しているように思われるのだ。初登場した加賀恭一郎は本書でも独特の存在感を放っている。推理力もなかなかのものだ。彼に自らの大学時代を重ねる読者もいるだろう。「卒業」―人は何から卒業するのだろうか。

