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カスタマーレビュー
おすすめ度:
よく生きよく考える
(2007-05-13)
術語や専門用語をできるだけ使わずに、哲学スル試みがされていました。
題名にある「現在」とは「過去」に対する「現在」ではなく「不在」に対する「現在」であり、ここに『生きることを離れてはよく考えることができず考えることを離れてはよく生きることはできない』という哲学は生きることに直結しているという筆者の価値観がよく表れています。哲学を生きることに現在させる試みを通じ、二元論的な科学の知によって分析・操作の対象として乖離させてしまった事物の有機的な全体性の回復を訴えています。
共通感覚、場、関係、ヒーロー・コロスなど筆者の哲学観を中心に平易な言葉で哲学が語られているのが魅力的です。生きることの確実性がゆらぐときに確実な基礎を求めて考えることが哲学であり、よく生きるとは充実感のうちに積極的に考え障害の中でも悦びを見出すことである。なかなかそうはいかないものですが、そのようにしなやかにたくましく生きたいものです。
『中村哲学への格好の入門書。そして概説書』
(2006-01-24)
およそ哲学の書物はむつかしい。ところが本書は違う。できるだけ平易な言葉で語られているからだ。数ある本書の美点の一つである。
では、平易な言葉で何を提起しようとしているのか?『生きること考えることをかえりみること』をとおして『分裂した知恵と知識を哲学の知のうちにふたたび統一する』(2点とも同書より)ことであると、小生は、受け取っている。これらを解説し、そして展開されてゆく。
中村哲学が、もっと、ずっと、注目されてよいと思うのは、上記の提起からも察せられるように、極めてオーソドックスであるからだ。もちろん"現代哲学"の凄味に目眩もするが、『パフォーマンス・アート』ならぬ『パフォーマンス・フィロソフィー』の雰囲気が小生には感ぜられる。しかし、中村哲学においては、『フィロソフィ=フィロ・ソフィア=知恵の愛求』というソクラテス以来続く流れさえ感じてしまう。少々誉めすぎか?
そして「内容の豊かさ」も忘れてはならない美点だ。
また、本書は記された1977年までの集成という側面もあることを付け加えておきたい。
大いに推薦
よくわかる哲学入門
(2004-07-20)
哲学者の書いた哲学書は,とかく七面倒くさいと思っている人も多いだろう.
しかし,この本は別である.
この本の特徴は,引用を極力排しているところである.
哲学書を読みなれない人は,カントいわく,ヘーゲルいわくとやられると,
それだけで気がめいってしまうものなのだ.
それが,この本にはない.
現前する哲学
(2004-01-08)
「現在」は現前の意味のよう。
20年位前に読んだときは良くわからなかったのですが、予備知識が増えていって3度ほど読んで最近ようやくわかってきたような。
全般、平易なほうかとも思うのですが。
たとえば読者がロゴスとか、パトスの語を聞きかじっていれば、わからなかったものがわかってくるという書にもなりましょう。
「コモンセンス」が大きく取り上げられているのだけど、これを「常識」と訳さないで、科学的な「共通感覚」として捉えてはどうかと提起されています。
「まことに共通感覚は、諸感覚の自律的な統合としておのずと秩序をもち、したがって感性的なものと理性的なものを結びつけている。そのようなものとしての共通感覚は、イメージとともに概念をもちその結びつきから成り立っている私たちのことばを支えている。」
(p.213)
この「共通感覚」は、精神病理学で統合失調症に関する論議でも頻出するワードです。ある種の「臨床哲学」の基礎知識の本にもなりえましょうか。
哲学史や現代哲学の本ではなくて、現前する問題にどう対するかという人間、社会の把握のための書と言えましょう。
おすすめ度:
よく生きよく考える
術語や専門用語をできるだけ使わずに、哲学スル試みがされていました。
題名にある「現在」とは「過去」に対する「現在」ではなく「不在」に対する「現在」であり、ここに『生きることを離れてはよく考えることができず考えることを離れてはよく生きることはできない』という哲学は生きることに直結しているという筆者の価値観がよく表れています。哲学を生きることに現在させる試みを通じ、二元論的な科学の知によって分析・操作の対象として乖離させてしまった事物の有機的な全体性の回復を訴えています。
共通感覚、場、関係、ヒーロー・コロスなど筆者の哲学観を中心に平易な言葉で哲学が語られているのが魅力的です。生きることの確実性がゆらぐときに確実な基礎を求めて考えることが哲学であり、よく生きるとは充実感のうちに積極的に考え障害の中でも悦びを見出すことである。なかなかそうはいかないものですが、そのようにしなやかにたくましく生きたいものです。
『中村哲学への格好の入門書。そして概説書』
およそ哲学の書物はむつかしい。ところが本書は違う。できるだけ平易な言葉で語られているからだ。数ある本書の美点の一つである。
では、平易な言葉で何を提起しようとしているのか?『生きること考えることをかえりみること』をとおして『分裂した知恵と知識を哲学の知のうちにふたたび統一する』(2点とも同書より)ことであると、小生は、受け取っている。これらを解説し、そして展開されてゆく。
中村哲学が、もっと、ずっと、注目されてよいと思うのは、上記の提起からも察せられるように、極めてオーソドックスであるからだ。もちろん"現代哲学"の凄味に目眩もするが、『パフォーマンス・アート』ならぬ『パフォーマンス・フィロソフィー』の雰囲気が小生には感ぜられる。しかし、中村哲学においては、『フィロソフィ=フィロ・ソフィア=知恵の愛求』というソクラテス以来続く流れさえ感じてしまう。少々誉めすぎか?
そして「内容の豊かさ」も忘れてはならない美点だ。
また、本書は記された1977年までの集成という側面もあることを付け加えておきたい。
大いに推薦
よくわかる哲学入門
哲学者の書いた哲学書は,とかく七面倒くさいと思っている人も多いだろう.
しかし,この本は別である.
この本の特徴は,引用を極力排しているところである.
哲学書を読みなれない人は,カントいわく,ヘーゲルいわくとやられると,
それだけで気がめいってしまうものなのだ.
それが,この本にはない.
すべての論述が,中村氏が選んだ日本語によって語られている.
抽象的な論述をする前には,それを理解するための具体例を豊富に叙述してある.
引用だけで成り立つ哲学書がある中で,画期的なことである.
中村雄二郎もこんなに分かりやすく書けるんだと思った.
現代文の試験に引用されそうな文章だなあ.
現前する哲学
「現在」は現前の意味のよう。
20年位前に読んだときは良くわからなかったのですが、予備知識が増えていって3度ほど読んで最近ようやくわかってきたような。
全般、平易なほうかとも思うのですが。
たとえば読者がロゴスとか、パトスの語を聞きかじっていれば、わからなかったものがわかってくるという書にもなりましょう。
「コモンセンス」が大きく取り上げられているのだけど、これを「常識」と訳さないで、科学的な「共通感覚」として捉えてはどうかと提起されています。
「まことに共通感覚は、諸感覚の自律的な統合としておのずと秩序をもち、したがって感性的なものと理性的なものを結びつけている。そのようなものとしての共通感覚は、イメージとともに概念をもちその結びつきから成り立っている私たちのことばを支えている。」
(p.213)
この「共通感覚」は、精神病理学で統合失調症に関する論議でも頻出するワードです。ある種の「臨床哲学」の基礎知識の本にもなりえましょうか。
哲学史や現代哲学の本ではなくて、現前する問題にどう対するかという人間、社会の把握のための書と言えましょう。

