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カスタマーレビュー
おすすめ度:
真面目で鋭い分析。岩波新書黄色版の1、という出版時の意気込みを感じる。
(2008-03-07)
「民主主義」の歴史を振り返り、そこに共通する理論を考察し、今後の展望を考える。長谷川三千子「民主主義とは何なのか」を読みはじめたら、この本がかなり引用されていたので探して読んでみた。初版から30年経っているが、読めば驚くほど「まだ?」「また?」と思う記述が見出される。一度は真面目に「民主主義のなんたるか」を自分で考えてみようと思う方は手にとって損はない本だと思う。30年前の状況と現在を比較しながら読むのも興味深い。
例えば、討論と説得が難しくなった政党制の議会でも「論点を明確にし、責任のありかを問う」場としての価値はある、などと書かれている。確かにそういう位置づけもある、と思う。責任所在についてあまりにもあいまいな国会答弁を聞いていると、それも怪しくなっているきもするが。
終章「民主主義の展望のために」の数ページのなかに、著者の意見は集約されている。著者は、必ずしも「民主主義しかない」とは言っていないが、「民主主義に根本的な一つの特徴、ほかに求めがたい長所があるとすれば、それのみが、人間が政治生活を営むうえに、人間の尊厳と両立するという一点であります(p208)」という理由で支持する。ほぼすべての人間が「尊重されている」と感じ、権力をひっくり返す可能性のある要因が少ない状態に近づける考え方、という視点で、他の「主義」も各自、検討してみてもいいかもしれない。
過去の歴史の中での民主主義を振り返り、原理を検討してきた著者の結びの言葉を引用しておく。「求められているのは近代民主主義がどういうものであり、どういう特徴と困難とをもっているかの自覚であり、当面する諸問題を受けとることにおいてそれを解決に役立てる勇気であり、そのことを通じて民主主義の機構と作用領域とを組み直して行く叡智であろうと思います。(p207)」
岩波新書黄色版の1、という番号を付されているというのも、出版の意気込みが伝わってくるような一冊であった。まだ入手可能なのは嬉しい。
民主主義の多様性、民主主義の本質
(2007-02-13)
評者のような戦後に生まれた者にとって、民主主義とは自明の政治体制である。民主主義について特に疑うことなく育ってきた、と言って良いかもしれない。しかし、そのような者にこそ、本書は読まれるべきである。民主主義の本質を理解することは、その正しい行使のあり方や、それが適切に働いているかを評価する視座について、我々に再考する機会を与えてくれるのではないだろうか。本書は民主主義とはいかなるものか、著者がその歴史を辿り、あるいはその理念を語り、またその展望を語ることで、我々読者に深い理解を授けてくれる。本書が出版されたのは1977年であり、その記述に若干時代状況が反映されているけれども、本書の意義は全く失われていない。
本書の意義は、民主主義を歴史の鉱脈を辿りながら、それが決して唯一のものでないことを示した点にあるのではないか。同じ民主主義を名乗っていても、立憲主義との関わり等を反映して、アメリカのそれとイギリスのそれとは性格が大きく異なる。また、民主主義の主張されてきた歴史を見るならば、社会主義も民主主義を標榜するものであるとも言える。本書は、民主主義の多様性を明らかにするのだ。しかし、著者は強調する。民主主義において最も大事なものは人間の尊厳である、人間の尊厳を忘れて民主主義を論ずることはすべて無意味である、と。民主主義の本質を鋭く鮮やかに浮かび上がらせた著者の筆致は見事である。
著者は政治学史の第一人者であった。本書は著者であればこそ書くことのできた名著であると思う。概念の本質を探るときに、その歴史的淵源に立ち入ることの重要性を改めて読者に気づかせてくれる。しかし、著者は先日、その巨大な足跡を政治学史研究に遺し故人となってしまった。大きな人物を喪ったものだと、本書を読んでいて改めて感じた。
大学者の名小著
(2005-05-13)
分かっているようで分からない「民主主義」。
多数決は民主主義の基本だ!なんて言い方をよく耳にしますが,
多数決でも決められないことがある,という観点も大切なはず。
その意味で,民主主義と立憲主義(自由主義)の関係と違いを正確に学ぶ必要は,今後ますます大きくなると思うのです。
保守必読の書
(2002-03-10)
真の民主主義であったワイマール憲法から何故ナチスが生まれたのか。民主主義の利点と背後に隠された危険性を視野に入れ、広範囲に渡り改めて民主主義とは何かを問う。
おすすめ度:
真面目で鋭い分析。岩波新書黄色版の1、という出版時の意気込みを感じる。
「民主主義」の歴史を振り返り、そこに共通する理論を考察し、今後の展望を考える。長谷川三千子「民主主義とは何なのか」を読みはじめたら、この本がかなり引用されていたので探して読んでみた。初版から30年経っているが、読めば驚くほど「まだ?」「また?」と思う記述が見出される。一度は真面目に「民主主義のなんたるか」を自分で考えてみようと思う方は手にとって損はない本だと思う。30年前の状況と現在を比較しながら読むのも興味深い。
例えば、討論と説得が難しくなった政党制の議会でも「論点を明確にし、責任のありかを問う」場としての価値はある、などと書かれている。確かにそういう位置づけもある、と思う。責任所在についてあまりにもあいまいな国会答弁を聞いていると、それも怪しくなっているきもするが。
終章「民主主義の展望のために」の数ページのなかに、著者の意見は集約されている。著者は、必ずしも「民主主義しかない」とは言っていないが、「民主主義に根本的な一つの特徴、ほかに求めがたい長所があるとすれば、それのみが、人間が政治生活を営むうえに、人間の尊厳と両立するという一点であります(p208)」という理由で支持する。ほぼすべての人間が「尊重されている」と感じ、権力をひっくり返す可能性のある要因が少ない状態に近づける考え方、という視点で、他の「主義」も各自、検討してみてもいいかもしれない。
過去の歴史の中での民主主義を振り返り、原理を検討してきた著者の結びの言葉を引用しておく。「求められているのは近代民主主義がどういうものであり、どういう特徴と困難とをもっているかの自覚であり、当面する諸問題を受けとることにおいてそれを解決に役立てる勇気であり、そのことを通じて民主主義の機構と作用領域とを組み直して行く叡智であろうと思います。(p207)」
岩波新書黄色版の1、という番号を付されているというのも、出版の意気込みが伝わってくるような一冊であった。まだ入手可能なのは嬉しい。
民主主義の多様性、民主主義の本質
評者のような戦後に生まれた者にとって、民主主義とは自明の政治体制である。民主主義について特に疑うことなく育ってきた、と言って良いかもしれない。しかし、そのような者にこそ、本書は読まれるべきである。民主主義の本質を理解することは、その正しい行使のあり方や、それが適切に働いているかを評価する視座について、我々に再考する機会を与えてくれるのではないだろうか。本書は民主主義とはいかなるものか、著者がその歴史を辿り、あるいはその理念を語り、またその展望を語ることで、我々読者に深い理解を授けてくれる。本書が出版されたのは1977年であり、その記述に若干時代状況が反映されているけれども、本書の意義は全く失われていない。
本書の意義は、民主主義を歴史の鉱脈を辿りながら、それが決して唯一のものでないことを示した点にあるのではないか。同じ民主主義を名乗っていても、立憲主義との関わり等を反映して、アメリカのそれとイギリスのそれとは性格が大きく異なる。また、民主主義の主張されてきた歴史を見るならば、社会主義も民主主義を標榜するものであるとも言える。本書は、民主主義の多様性を明らかにするのだ。しかし、著者は強調する。民主主義において最も大事なものは人間の尊厳である、人間の尊厳を忘れて民主主義を論ずることはすべて無意味である、と。民主主義の本質を鋭く鮮やかに浮かび上がらせた著者の筆致は見事である。
著者は政治学史の第一人者であった。本書は著者であればこそ書くことのできた名著であると思う。概念の本質を探るときに、その歴史的淵源に立ち入ることの重要性を改めて読者に気づかせてくれる。しかし、著者は先日、その巨大な足跡を政治学史研究に遺し故人となってしまった。大きな人物を喪ったものだと、本書を読んでいて改めて感じた。
大学者の名小著
分かっているようで分からない「民主主義」。
多数決は民主主義の基本だ!なんて言い方をよく耳にしますが,
多数決でも決められないことがある,という観点も大切なはず。
その意味で,民主主義と立憲主義(自由主義)の関係と違いを正確に学ぶ必要は,今後ますます大きくなると思うのです。
そこでお薦めするのはこの本。
歴史と原理の関係を解きほぐしながら平易に語る内容は,政治学史の大家,福田歓一教授だからこその名著。
私は,高校生のときに副読本で配られて,全く読まなかったという思い出のある本ですが,大学を卒業してから読んでみて,深く感動を覚えた本でもあります。
この本が版元(岩波書店)品切れとは,寂しい限りです。
保守必読の書
真の民主主義であったワイマール憲法から何故ナチスが生まれたのか。民主主義の利点と背後に隠された危険性を視野に入れ、広範囲に渡り改めて民主主義とは何かを問う。

