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アイテム詳細
生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)
E.シュレーディンガー
岡 小天
鎮目 恭夫
岩波書店
グループ:Book /ランキング:138355
価格:¥ 735
発売日:1951-08 /只今品切れ中
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
さすがに古さは否めないが、やはりシュレディンガーだけある
(2008-03-16)
シュレディンガーの連続講演を起こしたもの。
講演は1943年に行われたものだが、その先見性には驚かされる。
ただ、今日ではさすがに古くなっているのは否めない。
DNAと遺伝、ブラウン運動、エネルギー準位などは、いまや高校の生物、化学、物理でさえ学ぶことである。
そういう点では、高校で理系科目を一通り履修しているならば、前半は基礎のおさらいになってしまうかもしれない。
それでも、高校で学んだことに違う角度から光を当てるのは、なかなか面白くもある。
もう一つ残念なのは、上記したように前半は基礎事項なので、タイトルから予測される「物理学と生命のクロスオーバー」にあたる部分が思ったより少なかったことである。
しかし、これが書かれた時代(戦前!)を考えれば、この内容はすごいと言わざるを得ないだろう。
シュレディンガーの猫は出てこない
(2008-02-16)
シュレディンガーといえば猫だと思っていたが、その話ではないらしい。
本書は、遺伝に関する議論も巻き起こしたらしい。
第4章の量子力学と遺伝子の関係は、本書で初めて知った。
大学で量子力学を受講したが、こういう応用研究があることを例題として示してもらえれば、もっと熱心に取り組めたかもしれない。何をめざす学問かの説明がなく、延々と難しい数式を展開されて、お手上げだった気がする。
物理学に興味を持つためのきっかけになるとよい。
ps.
第6章への註が、1945年版に付け加えられたと訳者あとがきに書いてある。
第6章への註は、「負エントロピー」に関する議論である。
その20年以上後に、エントロピー学会ができたときに、同じ議論が再燃した。
非周期性結晶を歯車とする時計仕掛けとしての生物
(2007-07-20)
物理学の立場から生命をどう見るか。まず、遺伝の仕組みに関する考察を通して、遺伝子の大きさや永続性という特性に注目します。突然変異の考察を通して、その不連続性に注目します。そして、それらは、古典物理学では説明しきれず、量子論ではじめて説明可能となるとして、突然変異と量子飛躍の関連を考察し、遺伝子という分子の安定度がいかにして得られているかを示してくれます。そこには、熱力学の第2法則も貫徹しており、生物体は環境から「秩序」を引き出すことにより維持されているのです。かくして、生物は、非周期性結晶を歯車とする時計仕掛けのようなものであると要約します。さらにエピローグでは、それらを哲学的に敷衍して、「『私』とは、『原子の運動』を自然法則に従って制御する人間である」という論をも導き出します。
さて、この本の出版から10年後に、この本に触発されたワトソンとクリックがDNAのらせん構造を提起するのですが、実に、上記の非周期的結晶の基本物質がDNAだったわけです。
しかし、この本を読んで感じたのは、そのような先駆性のみならず、内容の広さ、深さでした。
まず、生命の全体像を理解する上で、この本の示唆するところは大きく広いのではないか、ということ。分子生物学から生態学まで、生物学に関心のある向きは、本書を繰り返し精読してシュレーディンガーと対話を深められたら得ることが多いのではないでしょうか。
つぎに、この本を自然界の階層性の概念により再構成したらおもしろかろう、と思いました。どなたか、やってごらんになりませんか?
さらに、この本に詩を感じたといえば、それはお前の勝手だろう、といわれそうですが、リルケの「彼は詩人であって、曖昧なことが嫌いであった」を思い出したのです。
異分野からの鋭い視点
(2007-07-01)
今から50年以上前に書かれた本だが輝きを失っていない。波動方程式で有名なシュレーディンガーが畑違いとも言える「生物とは何か」について考察を行なったもの。1995年には、本書の発表50周年を記念して、ダブリンのトリニティカレッジで当代一流の学者による記念講演が行なわれた程。
シュレーディンガーの基本的考え方は、量子力学の原理が生物学にも適用でき、分子(原子)の安定性という観点から種々の現象が説明できるという点である。そして用語こそ異なれ、DNA, 遺伝子の発見を予見している。そして、その後実際にその通りになった。本論はシュレーディンガーの直観(閃き)による所もあると思うが、基本は物理学で世の中の全てを説明できるという彼の信念によるものだと思う。この考え方の是非はともかく、天才的煌きを感じる。
冒頭で述べたダブリンでの講演会の内容は本になっていて、「生命とは何か それからの50年」という題名になっている。だが、内容はグールドによる聞き飽きた"断続平衡説"、遺伝子操作技術の是非、発生学に関する些細な論議、場違いなAI(人工知能)や自然言語の話等、「生命とは何か」という問題から程遠いものだった。つまり、この50年間の進歩は殆どないのである。しかし、とにもかくにもこの50年、生物学の進歩を促したのは本書とも言え、その意味で非常に貴重な本である。
生命の特徴は物理学的に説明され得るか
(2006-04-17)
量子力学創始者であるシュレーディンガー博士によって、物理学の見地から生命とは何かについて論じられた書である。統計力学・熱力学および量子力学などの考え方を用いて遺伝・突然変異およびデルブリュックの模型などを検討し、生命の特徴は「「非周期性個体」とよぶべき染色体分子によって高度な秩序性が保持されていること」であると言及していた。特にその「規則性の保持」のなかでも「秩序から秩序」を生み出す能力こそが生命の著しい特徴となるが、それは物理学的に許容される考え方であると結論していた。そして最後に「「私」とは「原子の運動」を自然法則によって制御する人間である」と思索していた。
本書で示された考え方は、生化学(分子生物学)・脳科学などに大きな影響を与えたようである。確かに物理学的見地から生命を捉えたときの考え方は新鮮に感じた。今後これらの学問を学びたいと思っている自分にとって、貴重な情報が得られたのではないかと思えた。
おすすめ度:
さすがに古さは否めないが、やはりシュレディンガーだけある
シュレディンガーの連続講演を起こしたもの。
講演は1943年に行われたものだが、その先見性には驚かされる。
ただ、今日ではさすがに古くなっているのは否めない。
DNAと遺伝、ブラウン運動、エネルギー準位などは、いまや高校の生物、化学、物理でさえ学ぶことである。
そういう点では、高校で理系科目を一通り履修しているならば、前半は基礎のおさらいになってしまうかもしれない。
それでも、高校で学んだことに違う角度から光を当てるのは、なかなか面白くもある。
もう一つ残念なのは、上記したように前半は基礎事項なので、タイトルから予測される「物理学と生命のクロスオーバー」にあたる部分が思ったより少なかったことである。
しかし、これが書かれた時代(戦前!)を考えれば、この内容はすごいと言わざるを得ないだろう。
シュレディンガーの猫は出てこない
シュレディンガーといえば猫だと思っていたが、その話ではないらしい。
本書は、遺伝に関する議論も巻き起こしたらしい。
第4章の量子力学と遺伝子の関係は、本書で初めて知った。
大学で量子力学を受講したが、こういう応用研究があることを例題として示してもらえれば、もっと熱心に取り組めたかもしれない。何をめざす学問かの説明がなく、延々と難しい数式を展開されて、お手上げだった気がする。
物理学に興味を持つためのきっかけになるとよい。
ps.
第6章への註が、1945年版に付け加えられたと訳者あとがきに書いてある。
第6章への註は、「負エントロピー」に関する議論である。
その20年以上後に、エントロピー学会ができたときに、同じ議論が再燃した。
非周期性結晶を歯車とする時計仕掛けとしての生物
物理学の立場から生命をどう見るか。まず、遺伝の仕組みに関する考察を通して、遺伝子の大きさや永続性という特性に注目します。突然変異の考察を通して、その不連続性に注目します。そして、それらは、古典物理学では説明しきれず、量子論ではじめて説明可能となるとして、突然変異と量子飛躍の関連を考察し、遺伝子という分子の安定度がいかにして得られているかを示してくれます。そこには、熱力学の第2法則も貫徹しており、生物体は環境から「秩序」を引き出すことにより維持されているのです。かくして、生物は、非周期性結晶を歯車とする時計仕掛けのようなものであると要約します。さらにエピローグでは、それらを哲学的に敷衍して、「『私』とは、『原子の運動』を自然法則に従って制御する人間である」という論をも導き出します。
さて、この本の出版から10年後に、この本に触発されたワトソンとクリックがDNAのらせん構造を提起するのですが、実に、上記の非周期的結晶の基本物質がDNAだったわけです。
しかし、この本を読んで感じたのは、そのような先駆性のみならず、内容の広さ、深さでした。
まず、生命の全体像を理解する上で、この本の示唆するところは大きく広いのではないか、ということ。分子生物学から生態学まで、生物学に関心のある向きは、本書を繰り返し精読してシュレーディンガーと対話を深められたら得ることが多いのではないでしょうか。
つぎに、この本を自然界の階層性の概念により再構成したらおもしろかろう、と思いました。どなたか、やってごらんになりませんか?
さらに、この本に詩を感じたといえば、それはお前の勝手だろう、といわれそうですが、リルケの「彼は詩人であって、曖昧なことが嫌いであった」を思い出したのです。
異分野からの鋭い視点
今から50年以上前に書かれた本だが輝きを失っていない。波動方程式で有名なシュレーディンガーが畑違いとも言える「生物とは何か」について考察を行なったもの。1995年には、本書の発表50周年を記念して、ダブリンのトリニティカレッジで当代一流の学者による記念講演が行なわれた程。
シュレーディンガーの基本的考え方は、量子力学の原理が生物学にも適用でき、分子(原子)の安定性という観点から種々の現象が説明できるという点である。そして用語こそ異なれ、DNA, 遺伝子の発見を予見している。そして、その後実際にその通りになった。本論はシュレーディンガーの直観(閃き)による所もあると思うが、基本は物理学で世の中の全てを説明できるという彼の信念によるものだと思う。この考え方の是非はともかく、天才的煌きを感じる。
冒頭で述べたダブリンでの講演会の内容は本になっていて、「生命とは何か それからの50年」という題名になっている。だが、内容はグールドによる聞き飽きた"断続平衡説"、遺伝子操作技術の是非、発生学に関する些細な論議、場違いなAI(人工知能)や自然言語の話等、「生命とは何か」という問題から程遠いものだった。つまり、この50年間の進歩は殆どないのである。しかし、とにもかくにもこの50年、生物学の進歩を促したのは本書とも言え、その意味で非常に貴重な本である。
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本書で示された考え方は、生化学(分子生物学)・脳科学などに大きな影響を与えたようである。確かに物理学的見地から生命を捉えたときの考え方は新鮮に感じた。今後これらの学問を学びたいと思っている自分にとって、貴重な情報が得られたのではないかと思えた。

