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レビュー(Amazon.co.jp)
???1965年にノーベル賞を受賞した物理学者、朝永振一郎は、科学者としての仕事にとどまらず、核廃絶を訴えるパグウォッシュ会議への参加、国内の原子力エネルギー問題への対応、東京教育大学の学長職など、じつに精力的で幅広い活躍をした。本書は、朝永が執筆した随筆や紀行文、講演録など36点を集め、その人生を概観できるように5つの章に分類し、まとめたものである。
???1965年にノーベル賞を受賞した物理学者、朝永振一郎は、科学者としての仕事にとどまらず、核廃絶を訴えるパグウォッシュ会議への参加、国内の原子力エネルギー問題への対応、東京教育大学の学長職など、じつに精力的で幅広い活躍をした。本書は、朝永が執筆した随筆や紀行文、講演録など36点を集め、その人生を概観できるように5つの章に分類し、まとめたものである。
???とかく「庶民的」と評される朝永の印象を、作家の円地文子は「日本のインテリゲンチュアのトップクラスの方なのに、そういう特別な人間ということを少しも意識しておられないように見える」と語っている。そうした人柄を反映してか、本書に収められた文章は、実におおらかで、ユーモアたっぷりにつづられているものが多い。また、近所の子どもたちや、庭に集まる鳥、あるいは季節の花々を描きとった随筆などは、理論物理学者の手によるものとは思えないほど感性豊かで、人間味あふれるものとなっている。
???なお、本書には難解な数式や理論などはいっさい出てこない。教育者としての朝永は、科学技術が台頭する20世紀において、科学の基礎となる物理学の知識が必須であることを見通し、とくに「文科系へ行く人には、文科系の物理というものがあるんじゃないか」として、一般教養としての物理学の重要性を説いた。本書は、物理と聞いただけで敬遠してしまうような文化系の、とくに若い読者にぜひ読んでいただきたい。(中島正敏)

