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カスタマーレビュー
おすすめ度:
複雑な読後感
(2007-09-01)
読み耽ってしまい、通勤電車の降りる駅を間違えて、終点まで乗り過ごしたことを告白します。でも評価は☆3個。
背景にある怪談「累」は「輪廻」と「悪霊退治」の物語です。一方、このお話のメインテーマは怪しい超自然的な力に翻弄される人間でなく、人間の「情欲」。
前半のメインとなる豊志賀の顔を醜くした原因はというと、彼女の燃えさかる「嫉妬心」。その「嫉妬」を生んだのは年下の男との愛欲生活が若い娘に奪われることを懸念したからです。後半メインの敵討ちも安田一角という武士が人妻:お隅に恋心を抱いてしまったことが原因。
冒頭に、円朝師匠はこう宣言されます「幽霊というものは無い、全く神経病だということになりましたから・・・」。つまり、人間の心(神経)が原因で起こる怖い話をしますよということ。
ゴミ箱に紙屑を投げ入れるように簡単に死んでいく登場人物達。それに反し、円朝師匠の語り口は軽妙であっけらかんとしています。☆3個にしたのはこの語り口と情欲・因縁・業・恐怖といったものが自分の中でうまく咀嚼出来なかったという個人的な感想からです。
「怪談 累(かさね 生まれ変わり)」を下敷きに「真景 累ヶ淵 累(かさね 係累)」に読替えて、創作されたこの作品は単に怖いだけのホラーと違った人情噺の側面を持っています。怖いだけのホラーに食傷気味の方にオススメの一品。
買いです。
(2007-08-20)
円朝は昔、中公文庫でなにかを読んだような読んでないような曖昧な記憶しかないので、初めて読むも同然でしたが、語り口を思わせる文章が小気味よく、つい読みが走って、意味を追えていないことにあとから気づいて読み直したりということが一度ならずありました。しかし、例えば「車軸を流すほどの」という言い回しが地の文にも会話文にも出てきたりするのは語りならではなのでしょうが、それがかえって「語りによる神話」といった趣きを生み物語の奥行きになっているというのは穿った見方でしょうか。この文体があればこそ、過剰な因縁で絡み合い登場人物が次々死んでいく様に、人の世の儚さ、業といったことを考えさせられるというもの。傑作です。
語り口の楽しみ
(2007-08-03)
何度も映画化され、最近の映画の写真が帯に付いたりしていますが、この帯は捨ててしまいましょう。映画的な流れを忘れて、円朝の語り口をゆっくり読んでいくにつれ、こんなに奥行きのある世界だったのかと気づくことでしょう。この円朝が結局日本の幽霊を虚構に閉じ込めてしまったのだという説もありますが、そういう視点から読んでも面白いですし、今流のホラーとして読んでも楽しめます。今回買って嬉しかったのは、解説が久保田万太郎だったことです。人情に通じた小説や俳句を多く残した人ですが、そういう人間通による解説なんです。
本書はやはり自分で口ずさむようにして読んでいくのがお勧めかと思います。いつしかこのおどろおどろしい世界に入り込んでしまうと同時に、人間を語る語り口も身についていくような快い錯覚に浸ることができるでしょう。
とにかく面白い!!
(2007-06-12)
古い話なので、最後まで読みきれるかなあ?なんてことを気にしながら読み始めたのですが、とにかく面白くて最後まで一気に読んでしまいました。速記という形をとっているため、まさに怪談と聞いて思い浮かぶイメージそのままの円朝師の語り口にまず引き込まれます。怖がらせようというよりは、どこかとぼけたような淡々とした語りが、面白くいつの間にかゾ〜とさせられてしまう。同じ円朝作「牡丹灯篭」よりも人間の欲と因業の深さがくっきりと語られているようで、より怖いです。前半3分の1くらいでハイライトとも言える場面が次々と展開されて話が最後まで持つのかなあなんて心配しましたが、次から次へと因縁がつながっていくところがまた興味を引っ張り、退屈させません。有名な「豊志賀の死」のくだりの面白さ怖さといったら・・・。蒸し暑い夏の夜に涼しくなれること請け合いです。気軽に手にとって読まれることをお勧めします。
おすすめ度:
複雑な読後感
読み耽ってしまい、通勤電車の降りる駅を間違えて、終点まで乗り過ごしたことを告白します。でも評価は☆3個。
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前半のメインとなる豊志賀の顔を醜くした原因はというと、彼女の燃えさかる「嫉妬心」。その「嫉妬」を生んだのは年下の男との愛欲生活が若い娘に奪われることを懸念したからです。後半メインの敵討ちも安田一角という武士が人妻:お隅に恋心を抱いてしまったことが原因。
冒頭に、円朝師匠はこう宣言されます「幽霊というものは無い、全く神経病だということになりましたから・・・」。つまり、人間の心(神経)が原因で起こる怖い話をしますよということ。
ゴミ箱に紙屑を投げ入れるように簡単に死んでいく登場人物達。それに反し、円朝師匠の語り口は軽妙であっけらかんとしています。☆3個にしたのはこの語り口と情欲・因縁・業・恐怖といったものが自分の中でうまく咀嚼出来なかったという個人的な感想からです。
「怪談 累(かさね 生まれ変わり)」を下敷きに「真景 累ヶ淵 累(かさね 係累)」に読替えて、創作されたこの作品は単に怖いだけのホラーと違った人情噺の側面を持っています。怖いだけのホラーに食傷気味の方にオススメの一品。
買いです。
円朝は昔、中公文庫でなにかを読んだような読んでないような曖昧な記憶しかないので、初めて読むも同然でしたが、語り口を思わせる文章が小気味よく、つい読みが走って、意味を追えていないことにあとから気づいて読み直したりということが一度ならずありました。しかし、例えば「車軸を流すほどの」という言い回しが地の文にも会話文にも出てきたりするのは語りならではなのでしょうが、それがかえって「語りによる神話」といった趣きを生み物語の奥行きになっているというのは穿った見方でしょうか。この文体があればこそ、過剰な因縁で絡み合い登場人物が次々死んでいく様に、人の世の儚さ、業といったことを考えさせられるというもの。傑作です。
語り口の楽しみ
何度も映画化され、最近の映画の写真が帯に付いたりしていますが、この帯は捨ててしまいましょう。映画的な流れを忘れて、円朝の語り口をゆっくり読んでいくにつれ、こんなに奥行きのある世界だったのかと気づくことでしょう。この円朝が結局日本の幽霊を虚構に閉じ込めてしまったのだという説もありますが、そういう視点から読んでも面白いですし、今流のホラーとして読んでも楽しめます。今回買って嬉しかったのは、解説が久保田万太郎だったことです。人情に通じた小説や俳句を多く残した人ですが、そういう人間通による解説なんです。
本書はやはり自分で口ずさむようにして読んでいくのがお勧めかと思います。いつしかこのおどろおどろしい世界に入り込んでしまうと同時に、人間を語る語り口も身についていくような快い錯覚に浸ることができるでしょう。
とにかく面白い!!
古い話なので、最後まで読みきれるかなあ?なんてことを気にしながら読み始めたのですが、とにかく面白くて最後まで一気に読んでしまいました。速記という形をとっているため、まさに怪談と聞いて思い浮かぶイメージそのままの円朝師の語り口にまず引き込まれます。怖がらせようというよりは、どこかとぼけたような淡々とした語りが、面白くいつの間にかゾ〜とさせられてしまう。同じ円朝作「牡丹灯篭」よりも人間の欲と因業の深さがくっきりと語られているようで、より怖いです。前半3分の1くらいでハイライトとも言える場面が次々と展開されて話が最後まで持つのかなあなんて心配しましたが、次から次へと因縁がつながっていくところがまた興味を引っ張り、退屈させません。有名な「豊志賀の死」のくだりの面白さ怖さといったら・・・。蒸し暑い夏の夜に涼しくなれること請け合いです。気軽に手にとって読まれることをお勧めします。

