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カスタマーレビュー
おすすめ度:
今日との比較から、民主下で新たに「自由」が脅かされる事実浮彫り
(2007-04-09)
人民革命党独裁政権から民主化されて間もない本書が出版された一九九二年当時の情勢と、以来十五年を経る今日を比較するとき、「モンゴル」と「モンゴル人」について多くの示唆を与える一冊。第一に日本人でモンゴルに関わる者として「ノモンハン事件(ハルハ河戦争、一九三九年五月−九月)を知らずして」、という問題意識。第二にペレストロイカによるソ連共産党からの「自由」の獲得(一九九〇年)。第三にその民主化に伴う「新聞」を核とする出版の自由の行使。近年の対韓・中関係に鑑み、モンゴル赴任に際し著者同様私自身モンゴルが過去日本から傷みを被った歴史の把握に努めました。しかし今日のモンゴル人は過去にこだわらず、むしろ近代史の議論そのものから目を逸らす風潮すら。民主化で「自由」を獲得したモンゴルは、“特権と抑圧”を象徴した“ロシア文字”に嫌悪を示し、縦書きのモンゴル固有文字を一九九四年に公用として復活させる決定をしたとするも、その後の経緯で今日までこの固有文字はマイナーのまま。またチンギス・ハンを不名誉な地位に陥れ、民族の精神的支柱であった数多くのラマ僧の粛清を葬るまで、過去甚大な生命の犠牲・思想抑圧・言論統制を甘受した背景があってこそ、解放と同時に数多の「新聞」を発行し、今日まで真実を余すところなく表明しようと試みる“民族”意識を理解させるのに本書は豊富な情報源。しかしモンゴルで「新聞」といえば根拠に薄くスキャンダルを暴く式も目立ち、昨今その責任性が問われている側面も事実です。本来の「民族」の「自由」が民主の名の下、数々の無責任や処世の現実に脅かされる一方、本心の「自由」探求の声は今日もモンゴルの社会で大衆運動を通じて活発に叫ばれています。モンゴル研究者としてロシアや中国内蒙古に跨る「汎モンゴル」統一文化形成の可能性を示唆するかのような著者の筆致には共感を覚えます。
モンゴル:日本の真の友人となりうる唯一の東アジア国家
(2002-05-05)
冷戦集結から現在に至る十年余りの期間に国民の歴史観が劇的に変化した国が東アジアに三つある。台湾・日本・モンゴルである。これら三国はいずれも外国勢力や外国出身者に言論界が支配され、自虐的歴史観が氾濫していたが、最近ではそこから脱却して自国の歴史を客観的に見つめ直す動きが広がっている。この本では、冷戦終結前後のモンゴルに於ける歴史回復運動を中心とした政治・文化の激動が余すところなく紹介されている。
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冷戦集結から現在に至る十年余りの期間に国民の歴史観が劇的に変化した国が東アジアに三つある。台湾・日本・モンゴルである。これら三国はいずれも外国勢力や外国出身者に言論界が支配され、自虐的歴史観が氾濫していたが、最近ではそこから脱却して自国の歴史を客観的に見つめ直す動きが広がっている。この本では、冷戦終結前後のモンゴルに於ける歴史回復運動を中心とした政治・文化の激動が余すところなく紹介されている。
ソビエトの衛星国であった時代のモンゴルでは、ロシアを侵略したチンギス=ハンについて触れることは禁忌とされ、歴史教科書でもロシアに被害を与えたことが短く記載されるのみであったという。モンゴル史に於ける最大の英雄がこのような扱いを受けていたとは余りに不自然である。人民共和国成立時のソ連による恐るべき虐殺、領土の強奪も紹介されており、ロシアに国土を接する日本にとってもロシアの真の姿を理解する助けとなろう。
著者は文中で政治家・学者等多くのモンゴル人との交流を紹介しているが、それを見るにつけ痛感されるのは彼らのリアリズムである。大国に挟まれた小国という不幸な環境を嘆きながらも、同様の状況にある韓国とは異なり彼らの発言には愚かな事大主義や小中華思想はその片鱗すら認められない。このような人々こそ日本の真の友人になりうるのではないだろうか。

